はなもも
4月上旬、阿智の友人からハナモモの写真が送られてきて「きれいだからおいでおいで」の誘いをうけた。休日、曇天だったが、これだと人出も少ないだろうからと車を走らせ、昼神温泉方面に向かうと道の両側に色鮮やかなハナモモがまるでフラメンコを踊るように咲き乱れていた。60を過ぎたあたりから意識的に歩く機会がふえて、自然と目がいくようになったがそれまでは、どこでも車でビューっと走り抜け、道端の草木に心を寄せることはない貧しい感性で生きてきたのだ。
ハナモモは同じ木に赤や白、ピンクの花を咲かせる魅力がある。阿智のハナモモはそれらの花が、入り混じって光を求めている。
地元、中山小学校近くにも一本花を咲かせているが、それは赤と白が東と西側にくっきりと分かれている。色々なハナモモがあるのだなあと思ったのだが、ふと、人もそれぞれだけど、あの木のように心の中の性的思考が、L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイ・セクシャル)T(トランス・ジェンダー)そして赤い花と白い花が混在する性もあり、最近社会的に認知されてきて、それはそれで花を咲かせる世がやって来つつあるのだなあと思った。
自分で決めたわけじゃない きっと神さまが決めたのでしょう
心のままに歩きたい うつむかないで歩きたい
男に○を 女に○を いつも迷う わたしはどっちに
でもこのごろ こんなのがあった
「どちらでもない」を○で囲んだ
ハナモモが咲いたよ 赤い花と白い花
一本の樹に鮮やかに そんなわたしで いいのです
「どちらでもない」は、性別欄にそう付け加えられたオーストリアの話だが、松本市においても昨年より「…性別記載に関する指針」として、「…全ての人が、性別に関わりなくかけがえのない個人として尊重され、多様性を認め合いながら、生き生きと暮らせるまちを目指しています。…」として「…性別記載欄を設ける場合は「男」、「女」だけでなく、他の選択ができるよう配慮すること…」と記された。なかなかやるではないか、松本市。